お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

どことなくウキウキしながら、晴臣はある場所まで足を進めると「目を閉じて」と果歩に言った。


「え? なんですか?」
「いいから言う通りにしてくれる?」


言われるまま目を瞑り、さらに歩いていく。いったいなにを見せようというのだろう。
ワクワクとドキドキがない交ぜになり、気持ちが急く。


「はい、止まって。ゆっくり目を開けていいよ」


ようやく許可が下り、瞼をそっと開ける。
果歩の目の前に現れたのは、籐でできた丸みのある椅子だった。ひとり用だがゆったりと座れる大きさで、体を包み込むようなデザインになっている。


「わぁ、素敵……。あ、これってもしかして……!」
「今度オープンするホテルのロビーに置くラウンジチェアだよ」


晴臣が前に話していた椅子だ。湾岸エリアに建設中の外資系ホテルから依頼されて作っていると。


「完成したら見せるって約束しただろう?」
「うれしい。座ってもいいですか?」
「もちろん」
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