お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
意図せず一緒のベッドに寝たときだって、触れるだけのキスで済ませられるくらいなのだから。その後、部屋はべつとはいえ何日もなにも起こらなかったのだってそうだ。理性の塊といってもいい。
「そう言うな。荒々しく奪えなくなる。これでも結構我慢してるんだ」
「それなら我慢なんてしなくても……」
恥ずかしさも手伝ってモゴモゴと口ごもる。
「それじゃ今すぐ帰ろう」
果歩の手を取り強引に立たせる。足早に会社を後にし、向かうはふたりが暮らすマンション。玄関で靴を脱いでリビングへ向かおうとした果歩を振り向かせ、晴臣は唇を塞いだ。
「――んっ、待っ……」
「だから、待てないって……言った、だろ」
果歩の言葉はキスに飲み込まれ、晴臣の声は切れ切れになる。吐息交じりのせいか色気も孕み、果歩の鼓動を一気に跳ね上げた。
唇は容易く割られ、熱を帯びたお互いの舌が絡み合う。素肌に這わせた指先も唇も、果歩から理性も余裕もすべて奪っていった。
強く繋がることで体温が溶け合い、甘い快楽に身を投じていく。
「……果歩、愛してる」
何度となく紡がれる言葉を胸に刻み、彼の愛の証を体にも刻み、ふたりだけの熱い夜は更けていった。