お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
「常に相手より先に動いて気遣うって、なかなかできることじゃないと思うよ」
本当に小さな気遣いは、そうされた相手でさえ気づかない場合もあるだろう。だからこそ晴臣自身が一つひとつ気づいてあげたいし、自分も果歩をそうして気遣いたい。
「晴臣さん……」
隣で果歩がポツリと呟く。そちらを見ると、彼女は泣き笑いのような顔をしていた。
「ごめんね、お姉ちゃん。ついうれしくてはしゃいじゃったの」
「私も。お姉ちゃんの結婚はすっごくうれしい。いつも私たちのこといろいろしてくれてありがとうね」
それまでの勢いはどこへやら。ふたりが急にしおらしくなる。
ついいつものノリで姉の果歩との言い合いを楽しんでいただけなのだろう。
「うん。わかってる」
晴臣は、妹たちに微笑み返した果歩の手をぎゅっと握った。