お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
「かわいい妹ができるのは俺もうれしいよ」
賑やかな場面を想像して、自然と笑みが零れた。
ふたりが去ると、嫌でも緊張感に包まれる。なにしろ果歩の両親に会うのは今日がはじめて。果歩によれば気負うようなふたりではないから心配はいらないと聞いているが……。
彼女たちが出ていった廊下から「やだ、お父さんもお母さんも、なんでそんな格好なの!?」という声が響いてくる。
嫌な予感でもしたのか、果歩が不安そうな顔をして腰を上げたときだった。座敷の引き戸が開き、いよいよふたりが現れた。
「いやぁ、お待たせしてすみません」
「お支度に時間がかかっちゃったわ。本当にごめんなさいね」
座布団から畳に正座をしたまま移動して振り返った晴臣は、思わず目が点になる。
「ちょっと! お父さんもお母さんもなに!?」
果歩の声が裏返った。
それもそのはず。ふたりそろって正装。父親は紋付き袴、母親は黒の留袖を着ていたのだ。
そんな格好で出迎えられるとは晴臣も思いもしない。