お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
父親は白髪交じりの豊富な髪を整髪料できっちりとまとめ、ほどよく恰幅があるせいか袴がとてもよく似合っている。
果歩は母親に似たのだろう。細身で品のある美人だ。
「果歩が将来の婿殿を連れてくるっていうんだから、これくらいビシッとした格好で出迎えなければ失礼だろう?」
「そうよ、果歩」
「限度ってものがあるでしょう?」
呆れかえったように言った果歩は、「ごめんなさい、晴臣さん」と小声で謝った。
「いや、歓迎ムードを感じて、むしろうれしいよ」
それは正直な気持ちだった。そうまでして晴臣を迎えようとしてくれているのだから。
賑やかな双子の姉妹が去って強張った体が、一気に解けた感覚だった。
「ご挨拶が遅れました。七瀬晴臣と申します。お会いできて光栄です」
晴臣が両手を突いて頭を下げると、果歩の両親もその場で急いで正座して頭を深く下げた。