お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

主人公のように敵地に潜入して悪と対峙したいだとか、暗号文の解読をしてみたいだとか、常日頃から憧れを抱いている。

ほかに心当たりがないまま果歩が腰を下ろしたら、文代は待ちきれない様子で口を開いた。


「果歩ちゃん、素敵な人がいるんだけどどう?」
「……素敵な人、ですか?」


想像と違ったため面食らった。小説の話ではないみたいだ。
ニュアンス的に同性ではなさそうだけれど、話の内容がはっきりしないため聞き返す。


「果歩ちゃん、お付き合いしている人はいないって言っていたわよね?」
「はい、いませんが……」


男性を紹介しようとしているのだと気づき、話を聞こうと前のめりになっていた体を戻して身構えた。
以前、文代に恋人の存在を聞かれて、いないと答えた記憶はある。半年前に別れた彼氏はお金にだらしなく、胸を張って紹介できるような人ではなかった。


「とーっても素敵な人なの」


〝とっても〟の部分をめいっぱいためて強調する。相当素晴らしい人物らしい。
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