お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
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電車で帰るために店の前で別れようと考えていたが、晴臣が自宅まで送ってくれると言う。
彼氏と別れて会社も辞め、いったん実家へ戻った果歩は、通勤の都合で今はまたひとり暮らしをしている。
再び乗り込んだ車が静かに発進した。
「彼氏のふりをさせたのに火鍋までごちそうになってしまってすみませんでした。とってもおいしかったです」
お礼も兼ねて果歩が払おうと考えていたが、トイレに行っている隙に晴臣が支払いを済ませていた。スマート過ぎて言葉もない。
「果歩さんが喜んでくれたのならなによりだよ。俺も楽しかったしね」
そう言われてどぎまぎするのは、晴臣が桁違いに素敵な男性だからだろう。イイ男に楽しかったと言われて嫌な気分になる女性はいないはずだ。
気が乗らないお見合いだったのに夏江には手術を決意してもらえたし、おいしい火鍋は堪能できたし、振り返ればとてもいい一日だったなぁとしみじみ思う。