お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

「果歩ちゃん、どうかしら?」


いい返事を期待しているのだろう。断られるのを想定していない陽気な声色だ。ルンと弾んだ空気が伝わってくる。


「えぇっと、その……」


ここで働きはじめて半年。果歩は、文代との間にはっきり断れるほど気楽な関係性がまだ築けていない。遠慮が前面に出てしまう。
とはいえ恋愛は懲り懲り。このまま独身でいいとも考えていた。


「ね? いいでしょう? ぜひ紹介させて」
「いえ、ですが……」
「なんにも心配いらないわ。私が自信をもって太鼓判を押すような人なのよ」


そう言って文代は相手について嬉々として話しはじめた。

なんでもその人は文代の友人の息子だそうで、父親が経営するインテリアデザイン会社を継いだ三十三歳の社長兼デザイナーだという。それはもう容姿端麗で性格も文句のつけどころがないのだとか。
社長でデザイナー、さらにはイケメンなうえに性格までいい。三拍子どころか極上といってもいいような男だ。
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