お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

「俺の周りには辛い物が苦手な人が多くてね」
「あっ、私もそうです」


スイーツなら喜んで付き合ってくれる友人や家族も、辛い物となると途端に付き合いが悪くなる。食べたいと思っていた火鍋になかなか行けなかったのも、そんな理由からだ。


「それじゃ、また一緒に火鍋を食べにいこうか」
「……え?」


運転する晴臣を咄嗟に見た。

(また一緒にって……。これきりじゃないの? おばあちゃんが手術するのを決意してくれたから、もうおしまいじゃないの?)

てっきりそうだと考えていたため、思わぬ誘いに胸がときめく。


「俺とは行きたくない?」


信号待ちで止まり、晴臣が果歩の方を向く。小首を傾げて穏やかに微笑む顔に、果歩は鼓動が弾んだ。


「い、行きたいです!」
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