お見合い夫婦!?の新婚事情～極上社長はかりそめ妻を離したくない～

ぺらぺらとめくって目を通し、ため息交じりに呟く。


「駅までの距離に目を瞑ると、若干下がってくるのですが。値段を抑えたいなら１Ｋにするとか、ユニットバスにするとかいうのもお考えになってはいかがでしょうか」
「そうですか……。バスとトイレがべつなのは譲れないので、駅まで遠くてもいいかなぁ……」


果歩が勧めた物件もいくつか印刷して彼女に手渡す。


「通勤の事情もおありだと思うので、駅までの距離については慎重に考えた方がいいかと思います」
「もう少しよく考えてみます。これ、いただいてもいいですか？」


間取りの紙を差して尋ねる。


「もちろんです。では封筒に入れさせていただきますね」


うしろのキャビネットから封筒を取り出し、クリアファイルに挟んでから入れた。


「ご覧になりたい物件がございましたら、またお気軽にお申しつけください」
「はい。ありがとうございました」