お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
言われるまま助手席のドアを開け、シートに体を滑り込ませた。
(って、乗っちゃってよかったのかな)
座った後でハッとする。頭と行動が連動しないのは動揺しているからだろう。
「こんばんは」と微笑まれ、果歩も同じように返す。
「先日はごちそうさまでした」
「こっちこそ火鍋に付き合ってくれてありがとう」
「今ちょうど七瀬さんにメッセージを送ろうかどうしようか迷っていたところだったんです」
なんだかとてもくすぐったくて、それを誤魔化すために正直に打ち明ける。
「なに、なんで迷う必要があるの?」
「え、あ、その……迷惑かもしれないなって」
「俺はキミの彼氏じゃなかった?」
「でもそれは祖母の前だけですし」
彼女面するのは躊躇いがある。
「おばあ様の前だけ繕ってもボロが出ると俺は思うけど」
「そうかもしれませんが……」