お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

もしももう一度会うことがあったとしても、それは祖母の病院に一緒に行ってもらうときだけだと思っていた。少なくとも、こんなふうに職場にまで顔を出してくれるとは想像もしていない。


「それで俺にメッセージって?」
「あっ、それはこれです」


うっかり忘れるところだった。
果歩はバッグと一緒に膝の上に置いた紙袋から包装された箱を取り出す。


「それは?」
「文代さんがお客様からいただいたそうで、辛いお煎餅だからどうぞって」
「それを俺に?」
「七瀬さんなら喜んでくれるかなって。一緒に食べたいと思って」


そこで余計なひと言を付け加えたことに気づく。一緒に食べたいなんて図々しい。


「それはうれしいね」


煎餅を食べられるのを喜んでくれているのだとしても、果歩を気遣った社交辞令だとしても、それを言葉通りに受け取って心が弾む。

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