お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
どのくらい辛いのかを想像するだけで楽しくなるなんて、どれだけ単純なのだろう。
「じゃあ〝せーの〟で食べようか」
同時に口に入れようと晴臣が言う。
「はい」
「じゃいくよ。せーの」
同じタイミングで煎餅にかじりつき、パリッと音を立てる。瞬間、舌に唐辛子がべったり付き、強烈な辛味が口中に広がった。まるで火がついたように熱くなる。
急いでかみ砕いて飲み込んだら、今度はふたり揃って激しくむせ込んだ。
「猛烈に辛いね」
「ほんとに」
目尻に滲んだ涙を指先で拭う。さすがに激辛とうたっているだけある。
「なにか飲み物を用意してからにすればよかったな」
「あ、それなら……」
果歩はバッグからステンレスボトルを取り出した。