お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

「いや、頼もしいよ」


慰めとわかっていても、その気遣いがうれしい。
たぶん晴臣の半分、いや三分の二は優しさでできている気がする。


「あ、そういえば、文代さんに『お付き合いすることにしたそうね』って言われたんですけど……」
「なんの連絡もしないわけにはいかないと思って、あの翌朝、おばさんに電話を入れたんだ。そうしたら『いい子だったでしょ? お付き合いするわよね?』って畳み掛けられて」
「そうでしたか」


文代の勢いで言われたら肯定してしまうのもわかる。いつだって否定できる雰囲気ではないから。バッグの中の文庫本がいい例だ。ハードボイルドはあまり興味がないけれど、なかなか遠慮できない。


「付き合うのは事実だしね」
「でもそれは……」


演技に過ぎないと言おうとしてやめた。晴臣を責めたくはない。


「それは?」
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