お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
晴臣に顔を覗き込まれ「あ、いえ……七瀬さんも仕事は終わったんですか?」と話を逸らす。
「いや、これから会社に戻るんだけど」
「えっ、そうだったんですか。遠慮もせずに乗ってすみませんでした」
急いでバッグと紙袋を持ち、降りようとドアハンドルに手を掛けたが、晴臣に「ちょっと待って」と呼び止められた。
「乗ってって言ったのは俺だし、仕事で近くまで来たから果歩さんの顔を見に寄ったんだよ」
「……私の顔を……見に?」
なぜわざわざという疑問が頭の中を渦巻く。
「迷惑だった?」
「とんでもない!」
そんなわけはない。
「それならよかった。会社に戻りながら自宅まで送るよ」
「いえっ、大丈夫です」
仕事中なのに送り届けるなんて、それこそ面倒だろう。