お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

(……あれ? どうしてこうなるの)

目をぱちくりさせる果歩に、「会ってみるだけでもいいの。絶対に損はさせないわ」と文代は念を押し、上機嫌で会社を後にした。


それから二週間、顔を合わせるたびに「楽しみねぇ」とワクワクしたように言われては果歩の方も「そうですね」と合わせるしかなく、あれよあれよという間に約束の日がやって来た。

ここまできたらもう後には引けない。文代も会ってみるだけでもいいと言っているのだから、その後断ってもいいだろう。


そう考えていた果歩に、べつの問題が勃発した――。


待ち合わせたのは高級として名高いホテルのラウンジ。ピカピカに磨き上げられた大理石のフロアも吹き抜けになった高い天井も、大きな窓から差し込む光や豪華なシャンデリアから注ぐ光で目にも眩しい。

浮世離れしたような場所を訪れているのは、どことなく洗練された雰囲気の人たちばかり。ちょっぴり気後れしながら、果歩はヒールの音を響かせワンピースの裾を揺らしてラウンジに足を踏み入れた。

今日はどちらの家族も同席せず、本人同士と仲を取りもつ文代の三人で気楽に会いましょうという話。丸テーブルとひとり掛け用のソファが扇状に並ぶ中、立ち上がって手を振る女性がいる。文代だ。
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