お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
1DKと、決して広くはない部屋は日当たりがよくてお気に入り。駅から歩いて五分というのもありがたい。
果歩が三階建てアパートのエントランスに差し掛かったときだった。背丈の植え込みの陰からいきなり人が出てきたため、驚いて足がすくむ。
「果歩」
名前を呼ばれてドキッとする。
「幸人!?」
現れたのは半年前に別れた元彼、春日幸人だった。
嘘。どうしてという気持ちが先行する。
「久しぶりだな」
「なんでここがわかったの!?」
以前住んでいた部屋は引き払い、一度実家に戻ってからここへ越したため幸人が知るはずはない。それがなぜ……。
「なんでって、そんなのどうでもいいじゃないか。強いて言うなら愛の力ってやつ?」