お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
幸人はポケットに片手を突っ込んだまま小首を傾げた。
「ふざけないで」
そんなものはとっくになかったはず。幸人が果歩と一緒にいたのはお金のため。果歩はお金を運んでくるだけの存在だったのだから。
「ふざけてなんかないよ。ずっと探していたんだ」
切実そうな目には騙されないと、心に強く誓う。
付き合っていた頃はこの捨てられた子犬のような目に弱かったが、もうあのときの果歩ではない。同僚にまで迷惑をかけた男なのだから。
「またお金がなくて困ってるとかなんでしょう? まだ働いてないの?」
別れてから半年。未だに無職だったら心底呆れる。
「仕事なら見つけてちゃんと働いてるよ」
「それじゃなにしにここに来たの」
お金目的でないとすればなんなのか。