お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
「い、いきなりなんだよ。俺は果歩と話しているんだから邪魔すんな」
「邪魔はあなたの方です。果歩は私との結婚が決まっておりますので」
「なに!?」
幸人の目が晴臣から果歩に移る。
「違うだろ? 果歩。この男と結婚なんかしないよな?」
すがりつくような眼差しで尋ねられ、一瞬同情しそうになったのは恋人だったという過去の関係性のせい。気持ちを奮い立たせて首を横に振る。
「幸人とはもう終わったじゃない」
「果歩が一方的に俺から離れたんじゃないか」
それは言いがかりだ。きちんと話して、しっかり関係を清算している。貸したお金は返さなくていいという理不尽な覚書まで書かせたのは誰なのだ。
果歩を探し出し、こんなところまで追いかけてくるほど最低の男だとは知らなかった。
「幸人さんとおっしゃいましたね。彼女の言っていることが理解できませんか? とにかく金輪際、果歩には近づかないでください」
「これは俺と果歩の問題だから、あんたは引っ込んで」