お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
幸人は乱暴な口調で晴臣を手で押しやろうとした。が、逆にその手を晴臣に取られ、捻り上げられる。
「――くっ……は、放せっ」
幸人が呻き声を上げるが、晴臣は容赦なく彼の背中にその腕を縫い留めるようにした。
「二度と近づかないと誓ってもらえませんか」
穏やかな晴臣とは思えないほど低い声だった。なにも答えない幸人の手をさらに強く捻る。
さすがの幸人もこのままではまずいと察しただろう。
「っわ、わかったから」
苦しそうに息を漏らしながら幸人が許しを乞う。晴臣がパッと手を放した瞬間、足をもつれさせながら転がるようにして歩道を駆けていった。
ホッとして脱力する。
「大丈夫だった?」
晴臣はすかさず果歩に振り返った。心配そうに見つめる目が揺れている。