お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
「どうして?」
晴臣は小首を傾げて果歩の顔を覗き込んだ。
理由が本当にわからないようで、すぐ近くでばっちり合った目が探るように果歩を射る。
「……いえ、なんでもないです。今のは忘れてください」
ジョークも通じない女なのかと思われたくなかった。
「でも晴臣さんが来てくださって本当によかったです。助かりました」
「今のは元彼? あ、いや、話は車でゆっくり聞かせて」
「車で?」
ここは果歩の住むアパート。これから車に乗る用事はない。
「俺のマンションへ行こう」
「……どうしてですか?」
意図がまったく掴めない。
「今の男がまた来るかもしれないから、しばらくここへは帰らない方がいい」