お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

でも普通の男女の間に起こるような展開は、果歩と晴臣の間には起こらないだろう。晴臣が果歩をそういう対象として見ていないのは、自分なりに重々承知しているつもりだ。なんとも思っていないからこそ、一緒に寝ようと言っているのだから。


「そうだよ。なんでもない、なんでもない。ただ横に寝るだけなんだし。ね」


一方的な恋心を抱えているため平静を保つのは難しいが、目を瞑ればすぐに朝になる。きっとすぐだと自分に言い聞かせる。

先に休んでいいと言われたものの、真っ暗にするのは後からここへやって来る晴臣に申し訳ないため、スタンドライトはつけたまま。布団をめくり、意を決し体を滑り込ませた。
仰向けでは落ち着かないため、晴臣が寝る方とは逆に体を向ける。なるべく端に寄り、彼に負担をかけないように心掛けた。

(早く眠っちゃおう。そうすれば彼の隣に寝ていることなんて忘れちゃうんだから)

ところが、こういうときに限って眠気は一向にやって来ない。普段は日中だろうが容赦なく襲ってくるくせに、なんて気まぐれなのか。

そうこうしているうちにドアが開く音がして、晴臣がベッドルームに入ってきた。
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