お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
眠ったふりをしようとしたのに「果歩、寝ちゃった?」と声を掛けられて、「起きてます」と口が勝手に動く。それもこれも途端にピンと張り詰めた緊迫感を振り払うためにほかならない。
彼が隣に潜り込む気配に体を硬くする。息までひそめたのは、緊張で呼吸が荒くなったせいだ。興奮しているように聞こえたら恥ずかしい。
身じろぎひとつせずにいるのがつらくなり、足をほんの少し動かしたら、晴臣に軽く触れてしまった。
「ごめんなさい」
反射的に足を引っ込める。
「やっぱり寝る場所が変わると眠れない?」
「そう、ですね」
晴臣の隣だからだとは思ってもいない口ぶりだ。
意識しているのは果歩ばかりで、晴臣はまったく平気なのが悲しい。
「そ、そういえば双子のお兄さんがいるって言ってましたよね。晴臣さんと一緒にインテリアの会社を引き継いだんですか?」
沈黙が訪れるのが怖くて、思いついた話題を強引に振る。