お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
「荒原不動産の社長夫妻の娘さん」
「やっぱりそうですか」
以前、文代が『娘は幼馴染と結婚したのよ』とうれしそうに話していたことがあったのだ。
思わずパッと見たら、またもや晴臣と目がばっちり合ってしまった。不自然に目線を逸らし、なんとなく息をひそめる。
「一慶の話はもう終わり」
「……はい」
なんだか機嫌を損ねたみたいだ。
(困ったな。ほかに話が思い浮かばない……。こうなったら、あとはもう寝るしかないよね)
「では、おやすみなさい」
頭を下げるような仕草をして晴臣に背を向ける。
ぎゅっと目を閉じ、眠気が舞い降りるのをひたすら待った。
――が、どう暗示をかけてもまったく眠くならないときている。普段ならすぐに眠りにつくタイプなのに。
「眠れない?」