お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

そうは言うけれど、晴臣に全体重をかけたくないし密着度合も気になる。リラックスどころか変な力が入って、体がぐらりと大きく揺れバランスを崩した。


「きゃっ」


ベッドに転がり、その弾みであわやフロアにダイブかという寸でのところで体が止まる。きゅっと閉じた目を開けると、晴臣が咄嗟に支えてくれたのがわかった。


「すみません、ありがとうござい――」


お礼の言葉が中途半端になる。うつ伏せから体を反転させたら、思いのほかすぐそばに晴臣の顔があったためだ。
晴臣はなぜか果歩から離れず、組み敷いたような状態のまま。


「果歩」


甘さを秘めた声で呼ばれて心臓がドキンと大きく弾む。返事もできず身動きもできない。全身が硬直して、指先すら動かせなくなった。

心拍数は限界までスピードを上げていく。気持ちの高ぶりも抑えきれない。胸の奥底に秘めていた想いがどんどん膨らみ、今にも溢れそう。
ゆっくり近づく彼の顔。そして唇が重なった。
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