お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
「果歩ちゃん」
文代に奥から呼ばれるのと同時に出入口のドアが開く。
「いらっしゃ――」
顔を上げて言いかけた言葉が尻すぼみになった。晴臣だったのだ。
「あら! ハルくんじゃないの!」
すかさず文代がカウンターまでやってきて明るく声をかける。
「おばさん、おはようございます」
いつもと変わらない爽やかな笑顔。やっぱりなにもなかったような様子だ。
でも、どうしてここへ。
晴臣の目線が果歩に注がれる。
「なにも言わずに出てくから心配したよ。電話もしたんだけど」
「えっ……」