結婚から始めましょう。〜SIDE 蓮〜

ほんの２０分ほどの外出を終えて帰社すると、南田親子と先ほどの女性が、まだ話をしているのが見えた。

チラリと目を向けると、ここへ入るまで自信なさげに行ったり来たりしていた人と同一人物とは思えないほどの余裕の笑みを浮かべる彼女に、再び目を奪われていた。


そんな自分自身に戸惑いつつ、視界に入るギリギリの瞬間まで、彼女の姿を捉えていた。


一目惚れ……というのだろうか？


オフィスに戻ってからも、どうにも彼女のことが気になって仕方がない。仕事も手につかず、これ以上はミスにつながりそうなほどだ。
特に急ぎのものもなかったため、切り上げることにした。

エレベーターを降りたところで、偶然にも南田と遭遇した。
あまりのタイミングよ良さに、思わず先ほどのことを聞いていた。