外階段
 怖い。

 身体は透けて見えない。顔だけが浮いているようにも見えた。

 敏也は目を閉じたいが、開いたままだ。身体も硬直して動けない。

「あああああああああああああっ……」

 ようやく声が出た。

 青白い男は敏也のところに近づいて来る。

 身体がようやく動いた。逃げられないと思ったが、足が前に進んだ。

 すでに、敏也の頭の中はパニックだった。階段を上ったのか下りたのか、それさえわからないが必死に走った。

 道順はわからない。だが、気がついたときには行き止まりだった。閉鎖された階段の扉が目前に広がっていた。雰囲気からして三階だ。

 困った。

 後ろには青い顔の男が追っている。

 絶体絶命だ。

 後ろを見るのさえ怖く、扉を通り抜けるしかない。ドアノブを回した。

 開かない。当然だ。
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