外階段
 敏也は背後が気になった。背中が汗で洋服が張りついて気持ち悪い。ゆっくりと背後を見た。誰もいなかった。

 青白い男は幻覚か。

 安堵して、背中からドアにもたれた。

 ギギギギ……

 引っかくような音が耳の近くで響いた。

 ドアがゆっくりと開いた。

 敏也は状況がわからず、身体がのけぞる意味が理解出来なかった。

「あっ!」

 開いたドアから敏也の首根っこを押さえる感覚がある。絞められる。一気に恐怖が復活した。必死で振り払うが取れない。身体は外に引きずられた。

 首を絞められているせいで、声は出なかった。

 敏也は抵抗するが、徐々に力がなくなるのがわかった。外階段の踊り場だろう。屋上のフェンスが目に入った。真っ暗な空。星さえ見えない。
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