外階段
 一階に教諭がいれば二階で電灯がついても気がつくはずがないからだ。

 誰もいない教室で、自分の机はすぐにわかった。数歩近づいて、また電灯のスイッチに戻った。廊下側から音が聞こえたからだ。

 コツコツと一定の速度で、足音が迫ってくる。

「ちぇ! もう来たのか」

 敏也は教卓に身を潜めた。気がつかれないように、息をひそめた。

 コツコツ……

 足取りは変わることなく、一歩一歩近づいた。

 足音は止まる事なく、通り過ぎた。

 教室には入ってこなかったし、戻って行く足音なく、廊下を突っ切ったのだ。

 敏也は不思議に思って廊下に出た。
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