外階段
 後ろから用務員の怒鳴り声が聞こえる。

 敏也は足を止める事なく、がむしゃらに暗闇を走った。踊り場に辿り着いたので、その場に膝をつき、両手を地面についた。息が切れる。

 静かだ。

 用務員は追って来ない。どうしたのだろうか。すぐに階段を下りるわけにも行かず、教室のある廊下を歩いた。

 光がおぼつかない世界では、現実と非現実が区別がつかない。

 ここは三階であろう。二階とは少し雰囲気が違うからだ。

 誰も追ってこないのであれば、こんな気味の悪い場所から一刻も早く出たい。

 再び階段の方に戻った。

 敏也は手すりにつかまりながら、視線は足元付近を見ていた。足が止まった。

 二階の踊り場で異様な雰囲気があった。

 薄暗いはずなのに、人がいるのがわかる。辺りを見回している。

 敏也は声を出せなかった。いや、出して気がつかれるのを免れたいからだ。

 異様だ。青白い顔をした男だ。落ち武者のように髪を結んでいなくボサボサ頭だ。額からは出血し、目は鋭く、殺気がみなぎる。
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