昨日、失恋した
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家に帰って、もう一回泣いてから、夕飯を食べて、お風呂に入る。母親には、私の泣きはらした顔が見えないように、注意しながらご飯を食べた。
お風呂に入って、鏡で自分の顔を見る。スポンジにボディーソープの泡をたっぷり付けて、ていねいにソバカスの部分をあらう。泡をお湯で流す。でもソバカスは消えてくれない。
そうこうしていると、鏡に映る自分の顔がぼやけてきた。
ぼやけた顔を見ながら考える。彼は『朝早く挨拶をするだけのクラスメート』なだけなのに、どうして涙が止まらないの?
――そうか――、彼は私の心の中の一番大事な人になっていたんだ――。
でも彼は、私のことを好きになんかならない。彼が好きなのは、美人で胸のおおきいひと。
だから、私なんかが彼を好きになっちゃいけない……。
鏡の中のぼやけた私は涙を流し続けてる。
体を洗ってから湯舟に入って考える。
……男の子の好き嫌いは色々、ソバカス嫌いな男の子もいれば、メガネ嫌いな男の子もいる。
私だって、太ってる男の子は嫌いだし、ニキビ面の男の子は嫌いだ。それと同じ事を彼は男子グループの中で言っただけ。私に向かって言ったわけではないし、私が勝手にコッソリと聞いた会話。彼は悪くない! 絶対に悪くない!
そういうふうに、湯船で自分に言い聞かせながら、何故か涙はとまらなかった。
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そうして、今朝を迎えた。正直、朝を迎えるのが怖かった。
でも、予想外に落ち着いている自分が不思議だった。人間て強い生き物なんだなあ、と思った。
今朝、彼に会ったらどんな顔で挨拶するのか? 自分でも分からない。彼に好きになってはもらえない、イヤ、嫌われてしまうかもしれない。でも、やっぱり私は彼に会って挨拶したい。その思いは変わらない、本当に何があっても。
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いつものように、早朝の学校は人気が無くて静まり返っている。今日はその静かな時間が怖いような気がした。
昇降口では、いつものように向こうから彼がやって来る。
私は少し微笑んで、朝の挨拶をするために昇降口で待っている。
……