ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
 真剣な表情で、エリナは地図に触れた。

「エリナ?」

 無言になった子猫を、皆が怪訝な顔で見た。

 鋭い視線で、彼女は地図の中央にあるスカイヴェン国を見つめている。エリナは小さな指で、スカイヴェン国の王都を現す赤い丸に触れた。

(わたしはフェアリナ)

「!」

 王家のメンバーの目の前で、エリナの姿がぼやけ、そこに半透明の美しい少女の姿が重なった。

(わたしの本当の名前は、フェアリナ)

 光でできたその少女は、幻であったように一瞬で消えた。

「……王都に本屋さんはあったら、今度連れて行ってもらえますか? この国の簡単な地理や歴史の本があったら買いたいんです」

 しかし、誰も言葉を発さなかった。

「ええと……もしかして、この国では本はとても貴重で手に入りにくい物なんですか?」

「……エリナ、今のは……」

「はい?」

 ルディの声がかすれていてちょっと様子が変だったので、エリナは首を傾げ、そして地図からぱっと手を離した。

「あ、わたしみたいな一般の者が触っちゃいけなかったのかな? 世界の地図なんて、一般の人には公表されていない情報でしたか? だったらすみません」
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