ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
「い、いや、そんなことはない。簡単でわかりやすい本なら、俺が子どもの頃に使っていた教科書があるから、それを持ち帰ろう。この図書室にしまわれているはずだったな」

「教科書ですか、それはありがたいです」

 にっこりと笑う子猫は、今なにが起きていたのかまったく気づいていない様子だ。
 ルディ、フランセス、ギルバート、そしてサランティーナは素早く目配せをしあったが、何事もなかったかのようにエリナに微笑みかけた。

「そういえば、ルディは家庭教師が来るとすぐに逃げてしまったわね」

「そうじゃな。そして、茂みの中けら引っ張り出すのがなぜかわしの役目じゃったな」

「お、おい」

 やんちゃな過去を暴露され、ルディはうろたえた。

「カルディフェンと黒豹のヴォラットの坊主は、何回ゲンコツを落としてもめげずに悪さをしておったな」

「うん、祖父殿の雷はものすごく怖いのに、懲りない兄上のことをある意味尊敬してたよ。あの経験があるから、どんな魔物も全然怖くないんだったっけ?」

「なんじゃと?」

 ギルバートは大袈裟に顔をしかめて「カルディフェーン、おぬしはわしのことをなんだと思っておったのじゃ?」と低い声で言った。

「あっ、フランセスも余計なことを言わなくていいから!」

 その様子を見ていたエリナに「今のギルおじいちゃんはこんなに優しいのに、昔は怖かったんですね」とくすくす笑われて、厳しく恐ろしい前狼王だったはずのギルバートは「そうじゃよ、可愛くていい子猫のエリナには、わしはずーっと優しいおじいちゃんなんじゃよ」とデレっとした笑顔になってしまったのだった。
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