ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
「……ただいま? あれ?」

「お帰りなさい、エリナにミメット!」
 
 犬のマイクが戻ってきた馬車に駆け寄って、激しく尾を振りながら言った。

「お疲れさまー。どうだった? なにを積んで帰ってきたの? やっぱり美味しいものだよね?」

 瞳を輝かせて尻尾をぱたぱたと動かす人懐こい犬の獣人と、その後ろに並ぶ警備隊員一同を見たミメットとエリナは顔を見合わせた。

 そう、荷馬車を待っていたのはマイクだけではなかったのだ。

「あんたたち……定休日の店の前で待ってるなんて……」

 荷馬車の馭者台で、ミメットが呆れたように言った。

 そう、『本日は定休日です』という、子猫が作った札の貼られた青弓亭の前には、先ほどの犬のマイクを始めとして、狐のサファンに熊のアルデルン、虎のキーガスが……そしてもちろん、スカイヴェン国の誇る王都警備隊長である狼のルディがずらりと並んでいる。
 そして、その瞳には期待の光が浮かんでいるのだ。

「みんな、仕事は終わったの?」

 ミメットの言葉に、マイクとルディとキーガスは首を縦に振る。

「俺とアルデルンは夜勤があるんだよ。ああ、お腹がすいたなあ、夜勤の前に腹ごしらえをしたいなあ、可愛い子猫の手料理なんか食べると、俄然やる気が出ちゃうんだけどなあ」

 少しチャラい狐のサファンがわざとらしく言うと、エリナがくすくす笑った。
 そして、荷馬車の後ろから降りてきた黒豹は「気持ちはわかるけどなあ……」と少々呆れた顔で警備隊の仲間を見たのであった。
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