ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
「それでは、荷物を下ろすのを手伝ってもらえますか?」

 エリナの指示で、トマトケチャップの入った瓶やお土産に貰った美味しい野菜やパスタなどが青弓亭に運ばれる。

「あたしは馬車を返してくるよ」

「あ、俺も付き合うね」

 馭者台にマイクが座り、ミメットから手綱を受け取った。

「姉さん、お願いします」

「ああ。店の方は任せたよ」

「はい」

 荷馬車が走り去り、エリナは青弓亭のキッチンに入った。しかし、ルディに「今日は遠出したから疲れたんじゃないのか?」と抱き上げられて、椅子に座らされてしまう。そして、「大丈夫ですよ」と丸い目で見上げた子猫の手には、甘い焼き菓子が握らされた。

「そうだな。向こうでは農園の人に料理を教えたりして、エリナも疲れただろう」

「……そうか。それなら仕方がないよね」

 夜勤前に美味しい青弓亭の料理が食べたかったサファンだが、疲れた子猫に鞭打つようなわがままは言いたくなかったので、肩をすくめて言った。

「今日の成果はまたの機会に……」

「いや、俺が作ろう」

「……はあ?」

 狐は口を半開きにして頭を傾げた。そんなサファンに、ヴォラットは口元に笑いを浮かべて言った。

「俺が作ってやるよ、今日習ってきた美味い料理をな」

「いや……習ってきたって、どうしちゃったの? ヴォラットが変だ」

「失礼なやつだな」

 黒豹は狐のサファンの胸を軽く拳で叩くと、エリナに「厨房を借りるぞ」と声をかけ、大鍋を取り出してたっぷりの湯を沸かし始めた。
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