ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
 脳内から『熊さんのフリフリエプロンコスチューム』という怪しい映像を消去したエリナは、ヴォラットが手際良く野菜とベーコンを刻む様子(騎士は夜営をすることもあり、皆ある程度の料理ができるのだ)を見ながら美味しいお菓子をもぐもぐと食べて、元気いっぱいになっていた。
 しかも、椅子に座っていたはずなのに、いつのまにか狼隊長の膝の上に乗せられていて、頭を撫でられていた。
 
 と、そこにミメットとマイクが戻ってきた。

「ただいま……あれ、ヴォラットが厨房に立ってるなんてね」

「ええええええ、なにやってるの! ヴォラット、どうしちゃったの?」

 驚いて叫ぶのはマイクだ。クールな黒豹は口の端でにやりと笑うと、低い声でマイクに言った。

「今日の成果を食べたいんだろ? この俺が手料理を振る舞うなんて滅多にないんだからな、ありがたく食えよ」

「いやいや、なんで、なにがどうなっちゃってるの?」

 ミメットとエリナはくすくす笑った。
 そう、ヴォラットも農園のダンも、エリナの指導のもとで料理を覚えて、美味しいトマトケチャップを使ったナポリタンが作れるようになっていたのだ。

 器用な黒豹は、その場にいた隊員たちのナポリタンを手早く作り、食べさせた。渋々エリナを膝から下ろしたルディもナポリタンを食べて「ヴォラット、なかなかやるな」と鋭く黒豹を見た。そして、心の中で(後で俺も習わなければ)と決意した。
 狐のサファンは「可愛い女の子のエリナの料理を食べて夜勤に行こうと思ったのに、なんでヴォラットの手料理なんだよ、でもこれすごく美味しいんだよ、俺の気持ちはどうしたらいいの?」と納得したんだかしていないんだかという複雑な表情でチーズたっぷりのナポリタンを平らげて、同じく満腹になってご機嫌なアルデルンと一緒に夜勤に出かけたのであった。
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