ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
 一方、干した果物とナッツが入ったクッキーを「美味しいにゃん」と喜んで頬張る子猫を見ていると、狼隊長の胸の中はほっこりと温かくなり、知らず知らずのうちに口元が緩んでしまう。

(小さな口でこりこりお菓子にかじりつく姿は、年相応の子猫なんだがな。よし、今日はエリナの好きそうな新作の菓子を探してこよう)

 彼はしっかり者のエリナを甘やかしたくてたまらないのだ。
 この過保護すぎる保護者は、エリナが幸せそうな様子を見ると、それだけで自分も幸せを感じてしまうのである。
 王家に生まれ、この国でただひとりの妖精獣であるために孤独だったフェンリルが手に入れた、何も考えずに愛情を注いでよい家族、それがエリナだった。

「美味いか?」

 口いっぱいにおやつをほお張ったエリナは、ルディに向かってこくこく頷きながら笑った。

(甘い蜂蜜と果物とナッツの美味しさが口に広がるこのクッキーは、毎日食べても飽きないくらい美味しいんだよね、大好き!)

 日本で暮らしていた時には、甘いお菓子を食べる機会などほとんどなかったエリナにとって、素朴だけれど美味しいおやつを朝から食べられるこの生活は、夢のようであった。


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