ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
「姉さんは凄腕の剣士ですもんね。剣の腕も常に磨く必要がありますね」

 まさかミメットが『逃げた』とは思わないエリナは、黒くてまん丸な瞳をキラキラさせて言った。

「訓練、がんばってくださいね」

「ああ、ありがとう。包丁を剣に持ち替えてがんばってくるさ!」

 ミメットはへへっと笑った。
 彼女はお転婆な猫なので、きらびやかな王宮に行くよりも森の中で身体を動かしている方が楽しいのだ。

「それじゃあ姉さん、また明後日に」

「うん、王宮で美味しいおやつを食べておいでよ」

「はい」

 王宮はおやつを食べに行く場所ではないのだが……と、ルディはちょっと遠い目をした。




 青弓亭の外に出ると、そこにはすでに迎えの馬車が待機していた。ルディは子猫を抱き上げると、そっと馬車に乗せて自分も身軽に飛び乗った。これは王族のお忍び用の馬車なので見かけは地味なのだが、揺れも少なく内装もさりげなく質の良いものだ。
 子猫がルディの横にちょこんと腰掛けても、揺れて座席から転がり落ちる心配もない。
 ないのだが。

(あれ? モフモフなシートベルト?)

 過保護な狼は、ふさふさの尻尾で子猫をしっかりとくるんでいた。
 ……過保護すぎる。
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