ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
「いいえ、それはなりませんわ」

 侍女は、相手が第一王子でも怯まなかった。

「小さくてもエリナさまはレディでございますからね。殿方と一緒のお風呂など、言語道断でございます」

「風呂に一緒に入るとは言ってない!」

 ルディは慌てて否定した。

「俺とエリナは共に暮らす家族なんだぞ? 同じ部屋でかまわない」

「けれども……」

 貴族の娘である侍女のチェリラは、困った顔をした。
 王族も貴族も、生まれた時から別々の部屋で過ごす習慣だし、ルディはこの国の第一王子なのだ。

「……わたし、ルディさんと離れるなら、うちに帰ります」

 日本では散々な目に遭ってきたエリナは、とても警戒心が強い。スカイヴェン国王家の人たちはルディの家族だからと信用はしているが、ルディほどには心を許していないのだ。
 広い王宮でルディと離され、知らない場所に連れて行かれたくないと思い、エリナは丸い瞳に涙をためながら口をきゅっと引き結ぶ。

「……帰りましゅ!」

 その姿は、あまりにも可愛すぎた。
 おまけに、噛んだ。
 エリナの姿を見ていた使用人たちと王妃付きの侍女チェリラの口からも「むふん」という変な声が出てしまったし、ルディは「大丈夫だ、誰がなんと言おうと俺のそばからは離さないから安心しろ」とエリナをしっかりと抱きかかえた。
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