ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
 というわけで、「エリナはどこにもやらん!」とばかりに保護者に抱き上げられた子猫は、無事にルディの部屋にやってきた。

「風呂なら俺の部屋のものを使えばいい」

「畏れながら、そのようにさせていただきます」

 エリナが普段はひとりでお風呂に入っていると聞いて、侍女はほっとした様子であった。そして、ルディの部屋に子猫の着替えを持ってくるように手配をした。

「うわあ、広ーい!」

 彼の私室は、居間と書斎とベッドルームと、洗面や着替えをする広いクローゼットルーム、そして浴室がついているとても広いものだ。ずらりと衣装が並ぶクローゼットルームはエリナの目には二十畳近くあるように見えた。衣装係が大勢やってきて、様々な布地を広げることもあるので、この広さが必要なのだという。

「ここがルディさんの部屋なんですか。さすがは王宮というか、見事に広いですね」

 エリナは驚いて、上質な家具が置かれた立派な部屋をワクワクしながら見回した。壁には絵が飾ってあるし、花瓶も生けられた花もゴージャスだし、照明はシャンデリアだ。居間の方がクローゼットルームよりも狭いのだが、内装が贅沢に造られていて、居心地の良い空間になっている。

 日本でのエリナのアパートは六畳のワンルームだ。ひとまわりさせてもらったエリナは「日本のうちのアパートの壁をすべて打ち抜いても、ルディさんの部屋の広さには負けちゃうんだけど……」と口をぽかんと開け、(こんな場所で暮らして気後れしないなんて、ルディさんは、生まれながらの王子さまなんだな……わたしみたいな庶民の猫とは釣り合わないというか、いつか人生が分かれてしまう人なのかもしれない)と、少し寂しい気持ちになった。

< 44 / 204 >

この作品をシェア

pagetop