ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
「この部屋は、今はあまり使わないから、処分して欲しいと母上に話したんだが……」

 王宮に来た時には客間に泊まればいいから部屋をなくしてくれと言ったら、サランティーナ王妃にしくしく泣かれてしまったので断念したのだ。
 王妃にしてみれば、本来ならば王太子となるはずの可愛い息子が、妖精獣フェンリルであったがゆえに家族から離れて暮らすことになり、ルディのことが不憫でたまらないのだろう。

「まあでも、王宮には部屋は余っているし、第一王子が冷遇されているなどという噂になると困るからな。そのようなことも考え合わせてここは残してあるんだ」

 いろいろと気を使う、難しい身分のフェンリルなのだ。

「お前はもう下がっていいぞ。俺もエリナも自分の面倒は見られるからな。仕事で疲れているので、今夜はもう休ませてもらう」

 ルディが侍女に声をかけたが、彼女は「エリナさまはまだお小さいので、わたくしがご入浴のお手伝いをさせていただきます」と引き下がらない。

「チェリラさん、わたしはひとりでお風呂に入れますので、心配しないでください」

 エリナも笑顔で侍女の手伝いを断った。

「だって、小さくても庶民の猫なんですよ? 身の回りのことは普段から全部自分でやっていますから大丈夫です」

「……わかりました」

 エリナが一人前の料理人として働いていることを聞いていた侍女は、エリナの言葉にようやく頷くと寝巻きと朝の着替えをクローゼットルームに用意した。内心では、可愛い子猫のお世話ができなくて少し残念に思っていたのだが、そんな様子は表には出さない。

< 45 / 204 >

この作品をシェア

pagetop