柳田くんと恋を知るまで
必要以上の会話はあんまりしない。
だが、教えるのは格段とうまい。
こんなこと言うと数学の先生に怒られそうだけど柳田くんの解説は私の弱点をわかっている。
距離が近くてあんま集中できないけど。
グラウンドで響く野球部の声、どこかのクラスで練習しているのかトランペットの軽やかな音も聞こえる。
春の風でなびくカーテンとふわりと香る柳田くんの柔軟剤の良い匂い。
時々横目で綺麗な顔を拝みながら、私は徹底的に今日の範囲の苦手を潰した。