【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります
「お待ちしておりましたお嬢様。旦那様の言いつけですので、お乗り頂けますか?」
黒い髪をきっちりと整えたスーツ姿の男性は丁寧にそう言うと、私にペコリとお辞儀をした。
……パパってば、また運転手の若(わか)さんに頼んだんだ!
「相変わらずお嬢様だな?」
こっちを見てフッと笑みを零した蓮くんに、私は唇をすぼめた。
このスーツ姿の男性こと“若さん”は、私の運転手兼お世話役で……。
お嬢様だなんて、そんな風に自分のことを思ったことはないけれど。
私のパパは音無産業の代表取締役を務めていて、そのせいか物心ついた時からお嬢様と呼ばれて過ごしてきた。