【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります


それは突然だった。

理人先輩が私の肩を抱き寄せてきたから。


「ほっそ」なんてからかう口調で言いながら、私の顔を覗き込んでいる。


「ちょ……っ、やめてください……」


みんなが「理人先輩と大接近モードに入るなんてお嬢様とはいえ到底許される行為ではない!」と苦情が飛び交って、鬼の形相で見ている。


なにより、蓮くんの視線が……。


「俺とふたりきりの時、可愛いお嬢様はどんな顔すんだろーね?」

「ふたりきりになんてなりません……!」

「そんな口きいていーの? 俺は近い将来、歌鈴ちゃんの──」


言いかけて、理人先輩の唇が近づいたその瞬間、


「──ダメ。俺のだから触んないで」


頭の上から断定的な低い声が降ってきた。

< 165 / 417 >

この作品をシェア

pagetop