【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります
それは突然だった。
理人先輩が私の肩を抱き寄せてきたから。
「ほっそ」なんてからかう口調で言いながら、私の顔を覗き込んでいる。
「ちょ……っ、やめてください……」
みんなが「理人先輩と大接近モードに入るなんてお嬢様とはいえ到底許される行為ではない!」と苦情が飛び交って、鬼の形相で見ている。
なにより、蓮くんの視線が……。
「俺とふたりきりの時、可愛いお嬢様はどんな顔すんだろーね?」
「ふたりきりになんてなりません……!」
「そんな口きいていーの? 俺は近い将来、歌鈴ちゃんの──」
言いかけて、理人先輩の唇が近づいたその瞬間、
「──ダメ。俺のだから触んないで」
頭の上から断定的な低い声が降ってきた。