【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります
「い、いらないよ……」
蓮くんにもらったオモチャの指輪があるから。
蚊の鳴くような声で呟くと、男の子は激しく眉根を寄せた。
「こんな奴の後ろに隠れてないでこっちに来いよ……っ」
「や……っ!」
「おい。歌鈴が怖がってるだろ? やめろよ」
男の子が一歩踏み出した時、蓮くんが身体を前に出してかばってくれた。
「……なんだよ、お前! いつもいつも邪魔ばかり!」
同時に男の子が唇を噛み締めて拳を強く握る。
今にも飛びかかりそうな勢いで、蓮くんのことをキッと睨みつけている。
「コラコラ。いけませんよお坊ちゃま。喧嘩はダメです。それに、また奥様の宝石を勝手に持ち出していますね?」
「……っ!!」
その時、男の子を探しに来た執事の方が、ひょいっと腕を掴んだ。