【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります
「……蓮く、」
「間に合ってよかったじゃん」
「え?」
「俺のことはいい。だからそんな顔すんなよ」
柔らかく微笑んで私の頭をそっと撫でる。
大丈夫──と、言い聞かせるみたいに。
すぐに背中を向けた蓮くんは、あっという間に人混みに呑まれて見えなくなった。
* * *
「歌鈴ちゃんがこんなに立派なお嬢様になっていたとは、今年一番の驚きだよ」
来客用の部屋に入ってすぐに挨拶をした。
それからはずっとパパとの学生時代の話を聞かされた。
でも、半分も頭に入っていかない。
蓮くんの顔が、声が……頭から離れなかったから。