【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります
まだ滲む視界の片隅で、蓮くんの瞳は驚きに染まっている。
「好きな人がいるから、出来ませんって。私、後悔してないよ……っ、もう自分の気持ち誤魔化せないから……」
真っ直ぐに、クイッと顔を上げて伝えた。
突然の婚約破棄宣言に、信じられないって顔をしている。
「……心配した。俺のせいで歌鈴の印象悪くなったらどーすんだって」
大きな溜め息をつくと、ぽすっと私の肩におでこを押し当てた。
「それに、歌鈴がやっぱりアイツと婚約するって言い出したらって考えたら、普通に焦るだろ……」
絞り出した声が切なくて。
こんな余裕のない蓮くんは初めてだった。