【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります


「少しは疑うでしょう? なのに、トラブルがあったからってすんなり謝ってきちゃうし。どこまでいい子でいたいわけ?」


虫唾が走るってこういうことね、と嘲笑した。

振り下ろされた刃のようなその言葉は、深く私の胸を貫いた。

私が知る秋元先輩の姿はそこにはなく、ただひたすら、悲しかった……。


「もう返して」


私が胸の前で抱えていたお裁縫道具を奪い取ると、蓮くんを一瞥した。


「青葉くんも、幼なじみの前でヒーロー気取り出来てよかったじゃない」


去り際にうんざりした口調で言い放つと、すばやく身をひるがえした。


──けれど。

蓮くんがそれを黙って見逃すはずがなかった。

< 373 / 417 >

この作品をシェア

pagetop