【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります
「ほらパパ。あなたの大好きな歌鈴が呼んでいるじゃない。ちゃんと話しなさいよ。緊急事態だ!って言い出して急遽帰国したんだから」
緊急事態って、やっぱりよほどのことがあったのかな……。
助け舟を出してくれたママに小さく頷くと、重い口を開いた。
「歌鈴……友希から聞いたよ」
「とも……き?」
するとママが「理人くんのお父さんのことよ」と私へ耳打ちした。
「好きな人がいる、と……言ったそうだね」
「……、」
「本当なのか、歌鈴」
顔を上げたパパの目は心配と不安を宿していた。
こんな顔をさせたかったんじゃない。
──けど、ついにこの時が訪れたのだと思った。